ノートパソコンを選ぶとき、「メモリはどれくらい必要?」という疑問を持つ方は多いはずです。
8GBで足りるのか、16GBは本当に必要なのか、あるいは32GBが安心なのか──用途によって最適解は異なります。
本記事では「16GBもいらないのでは?」と迷っている方のために、用途別の最適メモリ容量とおすすめの選び方をわかりやすく解説します。
ノートパソコンに16GBメモリが「いらない」と言われる理由
一般的な使用例ではオーバースペック
インターネット閲覧、動画視聴、WordやExcelといった日常的な軽作業であれば、基本的に8GBのメモリで十分に対応できます。
たとえば、ブラウザで複数のタブを開きながらYouTubeを流しつつWordでレポート作成やExcelで簡単な集計を行うといった場面でも、特にストレスを感じず快適に作業が可能です。
もちろん16GBを搭載すれば多少の余裕は生まれますが、軽作業中心であればその差を体感できるシーンは限られており、多くの場合は無駄なリソースとなってしまいます。
むしろストレージの速度やCPU性能のほうが快適さに直結するため、メモリ容量だけを重視する必要はありません。
メモリとパフォーマンスの関係を理解しよう
メモリ容量は「同時に処理できる作業量」を左右する非常に重要な要素です。
複数のアプリケーションを同時に立ち上げたり、大量のブラウザタブを開きながらオンライン会議を行うといった場合には、メモリ容量が大きいほど快適さを感じやすくなります。
ただし、日常的な軽作業においては、CPUの処理速度やストレージ(特にSSD)の読み書き性能のほうが体感的な快適さに直結するケースが多いのが実情です。
そのため、単純にメモリを増やせば必ず高速化するというわけではなく、用途や作業環境によっては効果が限定的にとどまります。
さらに、メモリを増設すると消費電力や発熱にも影響が出るため、バッテリー駆動時間が短くなったり本体が熱を持ちやすくなる可能性もあります。
したがって、メモリの役割を正しく理解し、CPUやストレージとのバランスを考えて選ぶことが、最適なパフォーマンスを得るためには欠かせません。
8GBで十分なケース
オンライン授業や資料作成
レポート作成、プレゼン準備、Zoomなどのオンライン会議ツール利用も含む。
動画・音楽のストリーミング再生
YouTubeやNetflixでの動画鑑賞、SpotifyやApple Musicでの音楽再生など。
SNSやネットショッピング
InstagramやXのチェック、Amazon・楽天・Yahoo!ショッピングでの買い物、価格比較サイトの閲覧など。
16GBが無駄になる典型シナリオ
文書作成やメールチェック中心
主にWordでの文書作成やOutlook・Gmailの利用、スケジュール管理や簡単なPDF閲覧などに限られる場合。
YouTubeやNetflix視聴がメイン
フルHD動画を日常的に視聴する程度で、同時に他の重いアプリを使わないシーン。
タブを大量に開かないWebブラウジング
5〜10個程度のタブを開いて調べものをする、SNSやニュースサイトを確認するレベル。
逆に16GBが必要になるケースとは?
ゲーム用途
オンラインゲームや最新3Dゲームは非常にメモリ消費が大きいため、最低でも16GBを搭載していると動作の安定性が格段に増します。
特に、高解像度のグラフィックを扱うゲームや、複数のゲームを同時に立ち上げながら配信ソフトやチャットツールを並行して利用するような場合には、8GBでは明らかに不足しがちです。
最新タイトルの多くは推奨スペックとして16GBを挙げており、快適にプレイするためには必須ともいえる容量です。
16GBを搭載していれば、大規模なマップの読み込みや長時間のプレイでもフリーズや動作遅延が少なく、ストレスなく遊べるでしょう。
クリエイティブ用途
動画編集
Premiere Pro、DaVinci Resolveなどを用いてフルHDや4K映像を扱う、カット編集からカラーグレーディング、複数レイヤーを用いた高度な合成作業まで含む。
画像編集
PhotoshopやIllustratorを使用し、RAWデータの現像や高解像度画像の加工、広告用のデザイン制作、複数アートボードを同時に扱う作業など。
音楽制作
DAWソフトでのマルチトラック録音やソフトシンセの多用、エフェクトプラグインを重ねたミックスやマスタリング作業など。
メモリを大量消費するソフトウェア例
Adobe Creative Cloud 系ソフト
Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、After Effectsなど多岐にわたり、複数ソフトを並行して利用する場合は特に大量のメモリを必要とする。
高解像度データを扱うCADや3DCG
AutoCAD、SolidWorks、BlenderやMayaなどで大規模な設計データや複雑な3Dモデルを扱う場合、レンダリングやシミュレーションに多くのメモリが消費される。
16GBを選ぶ際の注意点
バッテリー駆動時間
メモリ容量が大きいと電力消費も増える傾向があります。
特に16GBや32GBといった大容量モデルでは、アイドル状態や軽作業時でもわずかに消費電力が高まることがあり、その結果としてバッテリー駆動時間が短くなる可能性があります。
さらに、高負荷状態ではメモリへのアクセスが頻繁になり、消費電力と発熱が同時に増えるため、冷却ファンが回る頻度も上がりやすくなります。
長時間の外出先利用を重視するユーザーにとっては、この点を理解して選択することが大切です。
インターフェースや拡張性
将来的に増設できるか、スロット数を確認しましょう。
特に、メモリスロットが1つしかないモデルでは、既存のメモリを取り外して交換する必要があるため効率が悪くなります。
2スロット搭載機であれば、1枚を残して追加することでコストを抑えつつ容量を増やせる利点があります。
また、最大搭載容量がどの程度なのか、マザーボードやチップセットが対応する規格(DDR4なのかDDR5なのか)によって増設の自由度も変わるため、購入前に必ず仕様を確認しておくことが重要です。
スピーカー・カメラなど周辺性能
メモリだけに注目せず、CPUの性能やストレージの速度、ディスプレイの解像度や輝度、キーボードの打鍵感や使いやすさといった要素まで含めて、トータルで快適に使えるかどうかをチェックすることが必要です。
特にノートパソコンは持ち運びやすさやバッテリーの持続時間も重要であり、これらを総合的に判断することで、メモリに過剰にこだわらず自分に最適な一台を選ぶことができます。
32GBメモリは必要?そのメリットとデメリット
32GBが必要な人の特徴
4K以上の動画編集をする
特に長編の映像作品や複数のレイヤーを用いた高度な合成編集を行う場合には、レンダリングやエフェクト処理で膨大なメモリを必要とする。
3DCG制作やAI学習を行う
MayaやBlenderなどの3Dモデリング・レンダリングソフトを使った制作や、TensorFlowやPyTorchを用いたディープラーニングモデルの学習など、大量のデータを同時処理する用途。
複数の重いソフトを同時に動かす
たとえばPremiere Proで映像編集をしながらPhotoshopで画像修正、さらにAfter Effectsで動画エフェクトを並行処理するなど、マルチタスク環境を快適にこなすためには32GBが有効になる。
デメリット
価格が高い
16GBモデルに比べると大幅に価格が上昇し、予算を圧迫することが多い。
消費電力・発熱が増える
高負荷作業時にはバッテリーの減りが早くなり、冷却ファンが頻繁に稼働するため静音性も低下する。
搭載機種が限られる
32GBを標準搭載しているノートパソコンは主にハイエンドやクリエイター向けモデルに限られ、選択肢が少なく購入できる店舗も限られる。
16GBとの違いを実感できる作業
4K動画のレンダリング
特に長時間のプロジェクトや複数のエフェクト・カラーグレーディングを重ねた作業では、処理速度と安定性に大きな差が出る。
3D CADや大規模なシミュレーション
自動車や建築物など複雑な設計データを扱う場面や、科学技術分野でのシミュレーション実行時など、膨大なメッシュや計算処理を伴う場合に32GBの恩恵が大きい。
オーバースペックになりやすい人の例
文書作成やブラウジングしかしない人
WordやExcel、メールチェック、インターネット検索程度に用途が限られる場合は32GBは完全に持て余す。
軽めの動画編集しかしない人
家庭用ビデオやスマホ撮影の短編映像を簡単にカット・編集するレベルであれば、16GBでも十分で32GBは必要性が薄い。
【比較】メモリ8GB vs 16GB vs 32GB
メモリ容量 | 向いている用途 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
8GB | Web閲覧、Office、動画視聴 | 価格が安い、省電力 | タブを大量に開くと重くなる |
16GB | ゲーム、動画・画像編集、マルチタスク | バランスが良い | 価格がやや高め |
32GB | プロ向けクリエイティブ、AI、3DCG | 高負荷作業も快適 | 高価格、消費電力増 |
メモリの選び方とオーバースペックを避ける方法
使用用途から逆算する
「自分がどんな作業をするか」を軸に容量を決めましょう。
たとえば、普段の使い方がネット検索やメール、文書作成といった軽い作業中心であれば8GBで十分ですし、動画編集やゲームといった高負荷作業を行うなら16GBが安心です。
さらに、4K映像制作や3DCGモデリングなど専門的な用途を想定している場合には32GB以上を検討する必要があります。
自分がよく使うソフトや同時に行う作業の量を思い浮かべながら、無駄のない容量を選ぶのが賢い方法です。
将来的なメモリ増設の可否
スロットに空きがある機種なら、まず8GBや16GBで購入し、必要になれば後からメモリを追加して増設が可能です。
たとえば、2スロット搭載機で1スロットが空いている場合には、既存のメモリをそのまま活かして追加するだけで済むためコスト効率が良くなります。
さらに、将来の用途拡大やソフトのアップデートによって必要な容量が増えた際にも柔軟に対応できるのが大きなメリットです。
反対に、スロット数が限られている機種やオンボード型のメモリを採用しているモデルでは、後からの増設ができない、あるいは交換時に既存メモリを取り外す必要があるといった制約もあるため、購入時点でよく確認しておくことが重要です。
コストパフォーマンスの観点
最初から32GBを選ぶより、16GBで十分なケースが大半です。
特に、学生や一般的なビジネスユーザーにとっては16GBで必要な作業の大半を快適にこなせるため、余計な出費を抑えられます。
また、16GBはゲームや動画編集といったある程度の高負荷作業にも対応できる万能サイズであり、コストと性能のバランスに優れている点が魅力です。
将来的に本格的なクリエイティブ作業を始めたくなった場合でも、増設スロットを利用すれば32GBに拡張することが可能なモデルも多いため、最初からオーバースペックを選ぶより柔軟性の高い選択肢といえます。
購入時に必ずチェックすべきポイント
✅ メモリスロットの有無
空きスロットがあるかどうか、シングルチャネルかデュアルチャネルかも確認。
✅ 最大搭載容量
メーカー仕様やマザーボード設計によって上限が決まっているため、将来的に拡張したい場合は特に重要。
✅ DDR規格
DDR4/DDR5の違いだけでなく、動作クロック周波数やメモリ速度、互換性も考慮する。
ノートパソコンのメモリに関するよくある質問
Q1. メモリ容量の確認方法は?
Windowsなら「タスクマネージャー」や「設定」→「システム」→「詳細情報」から確認可能で、さらにコマンドプロンプトやPowerShellでもシステム情報を表示して調べられます。
Macなら「このMacについて」から確認可能で、より詳細を知りたい場合は「アクティビティモニタ」を開くことで使用中メモリや負荷状況もチェックできます。
Q2. 増設は自分でできる?注意点は?
一部のノートはオンボードメモリで増設不可です。
これは、基板に直接はんだ付けされているため、ユーザーが後から差し替えることはできず、購入時点で容量を決めておく必要があります。
静電気対策をして作業が必要です。
メモリ交換の際はアースバンドを使用する、金属部分に触れて放電してから作業するなどの対策が重要で、無防備に扱うと部品を破損するリスクが高くなります。
Q3. メモリ不足のサインと解消法は?
メモリ不足となると、動作が遅い、フリーズが多い、アプリの起動に時間がかかる、マウス操作や入力が一時的に止まるといった症状が頻繁に出るようになります。
解消法としては、タブを減らす、常駐ソフトを整理する、不要なアプリをアンインストールする、起動時に自動実行されるプログラムを見直す、ブラウザのキャッシュや一時ファイルを削除するといった対策が有効です。
Q4. 迷ったときの容量選びの目安は?
軽作業中心 → 8GB
主にWebブラウジングやメール、Officeソフトの利用など、普段の作業が軽いユーザーには最適です。
ゲーム・編集作業 → 16GB
最新ゲームや高解像度の画像編集、フルHD動画編集などを快適に行いたい人におすすめで、日常利用と専門用途の両方をバランスよくカバーできます。
プロ用途 → 32GB
4K以上の動画編集、3DCG制作、AIモデルの学習など、専門的で非常に重い作業を行うプロフェッショナルやクリエイター向けの容量となります。
おすすめノートパソコン【用途別】
8GBで十分なモデル(学生・ライトユーザー向け)
Lenovo IdeaPad シリーズ(コスパ良し)
ASUS VivoBook
16GBがおすすめなモデル(ビジネス・ゲーマー向け)
Dell Inspiron 15
MacBook Air(M2チップ搭載)
32GB対応モデル(クリエイター・専門職向け)
MacBook Pro 16インチ(M3 Pro / Max)
ASUS ROGシリーズ(ゲーミング向け)
まとめ
8GB … 軽作業・学生・一般ユーザー向け
主にWebブラウジングや資料作成、動画視聴などであれば十分対応可能で、省電力かつ価格も抑えられるのが魅力です。
16GB … ゲームや動画編集など幅広く対応できる万能容量
ビジネス用途からエンタメ、さらに趣味のクリエイティブ作業まで対応できるバランスの取れた選択肢で、多くのユーザーに推奨されます。
32GB … プロ向けの高負荷作業専用
4K動画編集や3DCG制作、AI学習など専門的な用途で真価を発揮し、将来的な拡張性も確保できるが価格と消費電力は増加します。
結論:迷ったら16GBがもっともバランスが良くおすすめです。
8GBはライトユーザーには十分でコストを抑えたい場合に適していますが、複数のアプリを同時に扱ったりゲームや動画編集をする予定があるなら16GBを選ぶと安心です。
さらに、将来クリエイティブな専門作業を本格的に行う予定がある人は、32GBも検討する価値があります。
最終的には自分の作業内容や利用環境を客観的に見極め、過不足のない容量を選択することが失敗しないコツです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!