最近、Amazonで発行される領収書から「宛名」が消えたと感じた人も多いのではないでしょうか?
以前は会社名や個人名を入力して印刷できましたが、2024年後半以降の仕様変更により表記がなくなっています。
この記事では、Amazon領収書の最新仕様変更と、宛名付きの旧領収書を表示・印刷する方法、そして代替手段までを分かりやすく解説します。
Amazonの「注文概要」が「領収書」表記に変更された理由
2024年後半、Amazonでは「領収書」ではなく「注文概要」という名称に変更されました。
これは、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応を目的とした仕様変更であり、事業者がより正確かつ効率的に取引情報を管理できるようにするための取り組みの一環です。
Amazon側としては、税制改正に合わせた書式統一やシステム連携の簡略化を狙っており、個人ユーザーにも電子的な記録保存を促す狙いがあるとみられます。
変更後の領収書(注文概要)では、注文番号・日付・金額・支払い方法・購入者名・お届け先・商品明細などは表示されますが、宛名と請求先住所が非表示となり、紙の領収書のような形式的な情報は省かれています。
代わりに、電子データでの管理やクラウド会計ソフトへの自動連携を想定して設計されているため、企業会計ではデジタル化との親和性が高まっています。
つまり、これまで経費処理や確定申告で利用していた「宛名入り領収書」とは形式が大きく異なり、扱い方を誤ると証憑として不備になるおそれもあります。
今後は電子保存を前提に、必要に応じてAmazonビジネスアカウントの活用や外部帳簿との連携を意識しておくことが重要です。
「宛名」と「請求先住所」は削除された
なぜ宛名や請求先住所欄が削除されたのかというと、主な理由は以下の3つです。
1.個人情報保護の強化
Amazonが個人情報保護を重視する背景には、世界的な個人情報規制(GDPRなど)の流れがあります。
購入者名や住所を不用意に表示することで起こる情報漏洩リスクを減らし、安全性と信頼性を高める狙いがあります。
また、クラウド上での取引履歴が増える中で、利用者が安心して注文できる環境を維持するための措置でもあります。
2.インボイス制度対応のための統一仕様
インボイス制度導入により、適格請求書のフォーマットを統一する必要が出てきました。
Amazonは事業者アカウントと個人アカウントを明確に分けることで、税務処理をスムーズにし、データ連携を容易にする体制を整えています。
この仕様変更により、ユーザー側はより正確な取引証明を得やすくなりましたが、一方で宛名や住所の自由入力が制限される結果となりました。
3.法人向け請求書システムとの分離
法人アカウント(Amazonビジネス)専用の請求書システムが構築されたことにより、一般アカウントでは簡略化されたフォーマットに統一されました。
これにより、システムの軽量化・トラブル防止・電子保存との整合性が強化されています。
法人利用者は必要に応じてビジネスアカウントを開設することで、宛名や部署名入りの正式な領収書を取得できます。
現在のAmazonでは、注文履歴から「領収書を表示」しても、宛名なし・住所なしで固定表示されます。(※お届け先としての購入者名、住所は表示されます)
そのため、経理処理では領収書単体では不十分な場合が多く、クレジット明細や注文履歴と組み合わせて利用するのが一般的です。
これにより、税務監査や確定申告の際にも、購入者本人の取引を裏付ける資料として整合性を確保することができます。
宛名付きの旧領収書を表示する方法
過去(2024年以前)の注文では、宛名付きの領収書を再表示できる場合があります。
以下の手順を試してみましょう。
宛名付き領収書の再表示手順
- Amazonにログイン
- 「注文履歴」を開く
- 対象の注文の右側にある「領収書等」をクリックし、表示されたプルダウンから目的に合う項目を選択・印刷可能な注文概要 … 個人利用の印刷に最適/従来の「領収書に近い」画面を印刷
・明細書/適格請求書 … 事業者・Amazonビジネス向けの正式書式(適格請求書)
・請求書のリクエスト … 販売事業者に請求書発行を依頼する場合
※現在は「領収書を印刷」というボタン/メニューは表示されない仕様です。
旧仕様の注文であれば、宛名や請求先住所が表示された状態で印刷できます。
宛名付き旧フォーマットを表示する裏技的手順
現時点(2025年10月時点)では、以下の手順で旧フォーマットの宛名欄付き領収書を表示できるケースがあります。
- Amazon公式サイトで「注文履歴」を開く
- 領収書を表示したい注文の「領収書等」をクリック
- 「印刷可能な注文概要」をクリック
- ブラウザのURLに表示される「/gp/」の直後に 「legacy/」 を追加して再読み込み
この方法を実行すると、旧フォーマットの領収書が一時的に表示され、宛名欄・住所欄が確認できます。
ただし、Amazonの内部システム変更により、今後この手法が利用できなくなる可能性があります。
そのため、早めに必要な領収書をPDFとして保存しておくことをおすすめします。
表示されない場合は、Amazonカスタマーサービスに問い合わせるのも一つの方法です。
代替手段|宛名入り領収書が必要な場合の対応方法
もし宛名付きの領収書が必要な場合は、以下の方法を検討しましょう。
【法人・個人事業主の場合】Amazonビジネスを利用する
Amazonビジネス(Businessアカウント)なら、会社名や住所を登録でき、宛名・住所付きの正式な領収書を発行できます。
また、部署名や担当者名を入力しておくことで、チームや部門単位での領収書発行も可能です。
加えて、登録された情報は自動的に請求書や納品書にも反映されるため、経理処理の手間を大幅に省けます。
さらに、購入履歴をCSVやExcel形式でエクスポートできるので、月次・年次の会計管理や仕訳処理に活用しやすく、監査対応の際にも正確な証憑として提出可能です。
Amazonビジネスを利用することで、個人事業主や中小企業が抱える領収書管理の課題を解消し、電子帳簿保存法にも適合した効率的な経理体制を構築できます。
【個人利用の場合】
経理上どうしても宛名が必要なときは、以下の方法を併用しましょう。
これらの手段を組み合わせることで、税務上の証拠力を補い、会計監査でも説明可能な状態を整えることができます。
✅ 「注文履歴ページ」+「クレジットカード明細」を提出し、支出の発生と決済の事実を明確化する。特に、同一注文番号や取引日が一致していることを確認しておくと信頼性が高まります。
✅ 税理士または経理担当に相談し、証拠書類として認められる形を確認。
必要に応じてメモ書きや社内承認印を添付しておくことで、帳簿上の整合性を保ちやすくなります。
✅ 法人・個人事業主の場合は、クラウド会計ソフトに領収書データと明細書を一緒にアップロードし、電子帳簿保存法の形式で保管するのも有効です。
✅ 税務調査時のトラブルを防ぐために、Amazonの注文メールや請求通知メールもPDFで保存しておくと安心です。
これにより、宛名がなくても一連の取引の証拠として十分に補完可能になります。
印刷・PDF保存時の注意点
領収書を印刷する際は、以下の点に注意してください。
● ブラウザ印刷時に「背景のグラフィックを有効」にすると正式書式に近い見た目になります。
さらに、ページ設定で余白を最小化し、スケールを100%に固定すると、表示と印刷結果の差が少なくなります。
印刷プレビューでロゴや明細が切れていないかも事前に確認しておくと安心です。
● PDF保存時は「order+日付+領収書」の形式でファイル名を統一すると管理が楽です。
加えて、フォルダを「年度別」「仕入先別」「プロジェクト別」などで整理しておくと、経理処理や確定申告時の検索がスムーズになります。
バックアップとしてクラウドストレージに保存しておくこともおすすめです。
● 領収書に手書きで宛名を追記するのは税務上無効となる可能性があるため避けましょう。
どうしても宛名が必要な場合は、Amazonビジネスの発行機能を利用するか、注文履歴とクレジット明細を併用して証憑として補完するのが望ましいです。
なお、印刷時のPDF改ざんや追記は電子帳簿保存法に抵触するおそれがあるため、オリジナルデータを保管することが重要です。
Amazonビジネスアカウントを活用するメリット
Amazonビジネスを利用すれば、法人・個人事業主にとって多くの利点があります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 宛名・住所付き領収書対応 | 経費処理やインボイス対応がスムーズ |
| 部署・担当者名登録可 | 組織的な経理処理が簡単 |
| 無料登録 | 追加料金なしで利用可能 |
| 仕入れ管理機能 | 複数人の購入履歴を一元管理 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 領収書に会社名を後から手書きで書き足しても大丈夫?
A. 原則NGです。税務上は正式な発行者が記載したもののみ有効です。
特に、税務署や会計監査では発行者のサイン・印章がない手書き追加は認められないケースが多く、証拠として不十分と判断されることがあります。
どうしても会社名を追記したい場合は、備考欄にメモとして書き添える程度にとどめ、正式な領収書はAmazonビジネス経由で再発行を依頼するのが確実です。
手書き補正を行う場合は、日付や金額を改変しないよう注意し、書類全体の整合性を損なわないようにすることが重要です。
Q2. 領収書メールは証拠書類として使える?
A. PDFとして保存し、電子帳簿保存法のルールに沿って管理すれば有効です。
メール本文や添付ファイルに記載された発行元情報・金額・日付などが正確であることが条件となります。
さらに、電子保存時には改ざん防止措置を講じること(タイムスタンプ付与やクラウド保存など)が推奨されます。
Amazonの領収書メールは定期的に仕様変更があるため、保存時に内容を確認し、必要に応じて注文番号・取引日などをメモとして追記しておくと後から照合しやすくなります。
まとめ
現在のAmazonでは、一般アカウントの領収書に宛名が表示されません。
これは、個人情報保護や電子帳簿保存法対応によるフォーマット変更の結果であり、ユーザーが自由に宛名を入力できる時代とは異なります。
今後もこの仕様が継続する見込みで、経費処理を行う場合には新たな対応が求められます。
宛名付きが必要な場合は、旧領収書を再表示するか、Amazonビジネスアカウントを利用しましょう。
旧領収書は「legacy」方式でのアクセスが有効な場合があり、これにより宛名欄や住所欄が含まれた従来形式の印刷が可能です。
Amazonビジネスでは、法人名や担当者名、部署情報などを登録できるため、より正式な証憑書類として活用できます。
また、請求書や納品書の自動反映機能により、経理担当者の作業負担を軽減できるのも大きな利点です。
経理処理では、領収書とクレジット明細を併用することで証拠力を補うことができます。
さらに、取引メールや注文履歴ページのスクリーンショット、PDF保存データを組み合わせて保管しておくと、税務監査や確定申告の際にも一貫した証明が可能です。
電子帳簿保存法対応を意識し、クラウドストレージや会計ソフトにデータを整理しておくと、後々の管理や確認作業がスムーズになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!


